ビルクリーニング業界における深刻な人手不足の救世主となっている「特定技能」制度。初めて外国人採用に踏み切る企業も増えていますが、求人募集を出す際に「絶対にやってはいけない落とし穴」があるのをご存知でしょうか?
それは、「ベトナム人のみ募集」「ミャンマー国籍限定」といった、特定の国籍に限定した求人をしてしまうことです。
本記事では、なぜビルクリーニング業の特定技能求人で国籍を限定してはいけないのか、その理由と法律違反のリスク、そして優秀な人材を安全に確保するための正しい方法を解説します。
なぜ国籍を限定した求人は「NG」なのか?
結論から言うと、国籍を限定して求人を行うことは、日本の「労働施策総合推進法(旧・雇用対策法)」に違反する可能性が極めて高いためです。
労働施策総合推進法 第7条(労働者の募集及び採用の機会の均等) 事業主は、労働者の募集及び採用について、その年齢にかかわらず、均等な機会を与えなければならない。また、国籍等による差別的取扱いも禁止されています。
厚生労働省の指針でも、「求職者の人種、国籍、信条、性別、社会的身分、門地、従前の職業、労働組合の組合員であること等を理由として、差別的な取扱いをしてはならない」と明確に定められています。
「自社にはすでにベトナム人の先輩がいるから、次もベトナム人がいい」「意思疎通がスムーズな特定の国籍に絞りたい」という企業の事情があっても、求人の段階で他の国籍を門前払いすることは法律上許されません。
国籍限定求人がもたらす3つの重大リスク
もし「国籍限定」の求人を出してしまった場合、企業は以下のような大きなペナルティやリスクを背負うことになります。
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1. ハローワークや求人媒体への掲載拒否 ハローワークや大手の求人広告媒体は、法令遵守(コンプライアンス)を徹底しています。国籍を限定した原稿を提出しても、審査の段階で掲載を拒否されます。
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2. 行政指導の対象になる 万が一、違法な求人を出していることが発覚したり、求職者から通報があったりした場合、厚生労働省(労働局)からの是正指導や勧告の対象となります。
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3. 企業の社会的信用・ブランドの失墜 「差別的な採用を行っている企業」としてSNS等で拡散された場合、企業のイメージは失墜します。外国人労働者コミュニティでの悪評だけでなく、既存の取引先(ビルオーナーなど)からの信頼を失うことにも繋がりかねません。
法律を守りつつ「自社にマッチした人材」を確保する正しいアプローチ
では、自社に合う優秀な特定技能外国人を採用するにはどうすればよいのでしょうか? 以下のステップを踏むことで、合法かつ効果的な採用が可能になります。
① 求人票には「求めるスキルや条件」を記載する
国籍ではなく、「業務に必要な能力」を基準に募集を行います。
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NG例:「フィリピン国籍の方限定」
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OK例:「日本語能力試験(JLPT)N4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)合格者」「ビルクリーニング特定技能1号評価試験の合格者」
② 登録支援機関や専門の紹介会社を活用する
ビルクリーニング業の特定技能採用に強い「登録支援機関」や有料職業紹介会社に相談するのも手です。彼らは様々な国籍の求職者データベースを持っています。 企業の「社内体制的に、まずは特定の言語に対応できる人材からスタートしたい」といった相談に対し、法律に抵触しない形で適切なマッチングをサポートしてくれます。
③ 面接(選考)の段階で個別に見極める
求人はすべての国籍に等しく門戸を開く必要がありますが、面接を行った結果、自社の受け入れ体制(指導体制、言語、文化の理解など)に最も合致する人物を採用すること自体は企業の自由です。 重要なのは、入口(求人)で差別せず、選考プロセスを通じて「個人の資質や能力」を公平に評価することです。
まとめ
ビルクリーニング業界での特定技能外国人採用は、労働力不足を解消する強力な手段です。しかし、「知らなかった」では済まされない採用のルールが存在します。
国籍で制限をかけるのではなく、「ビルクリーニングのスキル」や「日本語コミュニケーション能力」を基準にした公正な採用活動を行うことが、最終的にはトラブルを防ぎ、優秀な人材とのご縁を結ぶ一番の近道となります。
