人手不足が深刻化するビルクリーニング業界において、特定技能外国人の受入れは重要な人材確保策となっています。一方で、特定技能外国人の雇い入れに伴う教育費用、生活支援コスト、定期的な手当の見直しなどに伴い、従来の請負単価のままでは適正な労務費や支援体制を維持することが難しくなっています。
受入れ企業が適正な対価を得て健全な運営を継続できるよう、元請企業や発注者との価格交渉に向けた手引きと、そのまま活用できる契約変更・協議用のひな形をまとめました。
価格交渉を進めるための3つのステップ
- コストの上昇分を可視化する 特定技能外国人を受け入れる際には、基本給だけでなく、支援委託費、日本語教育費、渡航・住居手配費用などの「受入れ固有のコスト」が発生します。これらの費用を明確に算出し、従来の施工コストと分けて提示できる資料を作成します。
- 政府のガイドライン・適正取引指針を活用する 厚生労働省や国土交通省などのガイドライン、労務費転嫁に関する指針を引用することで、価格交渉が業界全体で推奨されている正当な手続きであることを伝えます。特に最低賃金の引き上げや物価高騰に伴う労務費の転嫁は、発注者側にも協議に応じる努力義務があります。
- 協議の記録を書面で残す 口頭での交渉は「言った・言わない」のトラブルになりがちです。価格交渉を行う際は、事前に協議書や改定要望書などの書面を提出し、双方で取り交わした合意内容を明確な契約変更書として締結します。
取引適正化・価格交渉要望書のひな形
以下の文章をテキストエディタ等にコピー&ペーストし、[ ] の部分をご自身の状況に合わせて書き換えてご活用ください。
業務委託料改定に関する協議のお願い
年 月 日 [発注先企業名]
[役職・担当者名] 様
[受注企業名]
[代表者名・担当者名]
拝啓
貴社におかれましては、益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、現在弊社が受託しております[物件名・業務名]のビルクリーニング業務につきまして、昨今の最低賃金の引き上げおよび物価・エネルギー価格の高騰に加え、特定技能外国人の受入れ・定着に伴う適正な労務費および支援費用の確保が必要となっております。
弊社におきましても、業務効率化やコスト削減に全力で努めてまいりましたが、自社努力のみでコスト増加分を吸収することが困難な状況となっております。つきましては、今後も高品質かつ安定した清掃品質と安全管理を維持するため、下記の通り業務委託料の改定(引き上げ)について協議させていただきたく存じます。
敬具
記
1. 対象業務・物件名
[対象の物件名や契約件名を記入]
2. 改定要望金額
現行価格より [〇〇]% の引き上げ(または月額 [〇〇] 円への改定)
3. 改定希望時期
[20年〇月〇日] 送り分より
4. 主な改定理由
- 最低賃金改定および労務費の上昇への対応
- 特定技能外国人の受入れ・維持管理費用(生活支援、教育訓練、受入れ体制の整備等)の増額
- 資機材費・光熱費などの清掃関連コストの高騰
恐れ入りますが、本件に関するご相談の機会をいただけますようお願い申し上げます。具体的な試算内容や内訳資料につきましては、お打ち合わせの際に提示させていただきます。
以上
