毎年9月は、経済産業省や中小企業庁が指定する「価格交渉促進月間」です。
ビルクリーニング業界において、エネルギー価格や資材コストの高騰に加え、最重点課題となっているのが「特定技能外国人」をはじめとする人材の確保・育成にかかる人件費や管理コストの増大です。取引先との適正な価格交渉を通じて収益構造を改善し、持続可能な雇用環境を整えることが今まさに求められています。
ビルクリーニング業界が直面する課題と価格転嫁の必要性
ビルメンテナンス事業は労働集約型産業であり、売上原価に占める人件費の割合が非常に高い特徴があります。特定技能外国人を受け入れる際には、日本人と同等以上の報酬確保だけでなく、以下の費用が発生します。
- 受入手続き・支援コスト: 登録支援機関への委託費やビザ申請費用
- 教育・研修費: 専門用語や作業手順、安全衛生教育、日本語学習支援
- 生活サポート費: 住居確保のアシストや各種手続きの同行支援
これらの費用を自社努力のみで吸収し続けることは困難であり、受入コストや適正な労務費をサービス価格(ビル管理受託料)へ適切に反映させることが不可欠です。
「価格交渉促進月間」を活用した交渉の手順
9月の促進月間を活用し、取引先(ビルオーナーや元請業者)との協議をスムーズに進めるためのステップを紹介します。
- 原価の見える化(数値データの準備) 特定技能外国人の受け入れに伴う法定福利費の増加分、支援委託費、教育コストなどを明確に算出し、単価アップの客観的根拠を作成します。
- 価格交渉の申し入れ 政府主導の「価格交渉促進月間」であることを背景として提示し、書面または打診を通じて協議の場をセッティングします。
- ノウハウや指針の活用 厚生労働省や中小企業庁が発行している「労務費の適切な転嫁のための価格交渉指針」や業界ガイドラインを参照し、法的な背景や妥当性を説明します。
定着率の向上と事業成長へ
適正な対価を得ることは、特定技能外国人スタッフの処遇改善(昇給や福利厚生の充実)に直結します。適切な待遇は現場の定着率向上や作業クオリティの維持・改善につながり、最終的には発注者側にとっても高品質なビル管理サービスという大きなメリットを生み出します。
この9月を機に、自社の原価構造を見直し、取引先との対話を進めていきましょう。
