特定技能外国人を雇用する企業(特定技能所属機関)にとって、最も避けなければならない事態の一つが**「行政処分」**です。
法令違反や不適切な管理体制が発覚した場合、単なる指導では済まず、事業運営に甚大なダメージを与える可能性があります。本記事では、特定技能制度における行政処分の種類、基準、そして処分を受けた際のリスクについて詳しく解説します。
特定技能制度における主な行政処分の種類
特定技能制度を運用する中で、出入国在留管理庁(入管)から下される処分や是正措置には、主に以下の3段階があります。
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指導・助言 軽微な不備がある場合に、改善を促すために行われます。
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改善命令 特定技能所属機関が「特定技能基準」や「届出義務」を遵守していないと認められる際、期限を定めて改善を命じる処分です。
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登録の取消し(受入れ停止) 改善命令に従わない場合や、欠格事由に該当する重大な違反があった場合、特定技能外国人の受入れ許可が取り消されます。
行政処分・欠格事由に該当する主なケース
どのような場合に処分の対象となるのでしょうか。代表的なケースは以下の通りです。
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労働関係法令の違反 残業代の未払いや、最低賃金割れ、不当な解雇など。
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出入国関係法令の違反 不法就労助長や、虚偽の書類提出など。
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支援計画の不実施 事前ガイダンスや生活オリエンテーションなど、義務付けられた支援を怠った場合。
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届出義務の不履行 四半期ごとの定期届出や、契約変更時の随時届出を忘れた場合。
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行方不明者の発生 受入れ企業の責に帰すべき理由(虐待や賃金不払いなど)で失踪者を出した場合。
行政処分を受けることによる「3つの大きなリスク」
行政処分は、単に「怒られて終わり」ではありません。企業にとって致命的なペナルティが伴います。
① 5年間の受入れ停止(欠格事由)
改善命令に従わなかったり、不正行為により認定を取り消されたりした場合、今後5年間は特定技能外国人を新たに受け入れることができなくなります。 労働力確保を特定技能に頼っている企業にとっては、事業継続の危機に直結します。
② 企業名の公表
出入国在留管理庁のホームページ上で、法令違反を行った企業名が公表されます。 これにより、「コンプライアンスの低い企業」というレッテルを貼られ、取引先からの信用失墜や、日本人の採用難にもつながる社会的制裁を受けることになります。
③ 既存の特定技能外国人の在留不可
受入れ停止処分を受けると、現在雇用している特定技能外国人もその企業で働くことができなくなります。他社への転職支援を行う義務も生じ、多大なコストと労力が発生します。
まとめ:リスク回避のために
特定技能制度は、技能実習制度以上に**「法令遵守」と「適正な支援」**が厳格に求められる制度です。
「知らなかった」では済まされないのが行政処分の厳しい現実です。定期的な内部監査の実施や、登録支援機関との密な連携を通じて、常に最新の基準に適合した運用を心がけましょう。
ポイント 行政処分を回避する最善の策は、**「定期届出の徹底」と「労働条件の適正化」**です。少しでも不安がある場合は、専門家や登録支援機関に相談することをお勧めします。
